長官さん用の自動車が八幡に来た

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長官さん(*1)用に自動車という物が八幡にもきて 試運転に官舎を一周するそうな
と噂がパッと広まった

当日誰かが「来た来た」と言うので それとばかり神田町(*2)に向って走ったが通り過ぎた後

それではと勝山橋のたもとで待っていると 上の官舎を通り水源地の方から疾走してくる生まれて始めて見る自動車
胸は高なるし顔は火照るし怖くはあるし

そのうち十メートル程に近づいた時 丁度井戸新設の為土管がいくつも置かれていた一つに思はず四ツ這いになってころがりこんだ目前を まっ黒いかたまりになってすごい勢いですぎて行った
大正二年か三年頃の話

(*1)長官:製鐵所長官?
(*2)神田町:現在の大蔵2丁目あたりのようです



《凡人の雑感》

大正2年か3年といえば、亡母は6才から7才くらいですね
初めて見る自動車に大興奮だった様子が目に浮かびます。

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