河内の百姓、朝市の帰り

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河内(*1)の百姓が暗い内に野菜を積んで朝市に下って来るのは子供にほとんど関心はない
もっぱら帰途についた時 それも午後四時か五時頃 競り値が高く懐が脹れて酒を一杯ひっかけ ほろよい機嫌で馬に引かれて帰って来る姿

行きは馬の手綱を引いて頼もしかったのに 帰りは馬があの長い顔で崖からすべり落ちないように 川へ落ち込まないように飼ひ主を庇ばい乍らの姿
いっそ荷車に乗っかってくれればよいものを なまじ手綱を握りしめて歩くので 涙の出そうな甲斐甲斐しい場面を幾度見た事か

あの頃は大藏(*2)から河内まで四キロ程あったが その間家は一軒もなく灯りもないまっ暗な道の筈

川に落ちた飼い主の急を知らせにひた走りに走って帰った話等 一度ならず聞いたものだった

(*1)河内:現在の北九州市八幡東区にある地名
(*2)大藏:同上


《凡人の雑感》

本当?
 馬は利口だとは云いますが…
  それでも信じられないおはなし。

なんだか愉快で楽しい内容で…
日本昔ばなしに加えてもよさそうな話です😆

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