園児のお迎えが来ない

<1a-13>

夜の九時というのに S子のおむかえが来ない

家の子達と夕飯をおあがりと言ってもたべない
お菓子も絵本もテレビも遊具もいやだ
 「父ちゃんの馬鹿」 と泣くばかり

ぢゃ送ってゆくと出てみたが まだ幼くて 又夜道が暗くて悲しいのか帰り途を教えてくれない

思い余って父ちゃんの勤務先へ電話してやうやく住所が分ったのでバスで送っていったら留守

又呑み歩いてどこかの道端でわめいているか寝ころがっているか
仕方ない父ちゃんだ
だから母ちゃんに逃げられるんだ

お隣の奥さんが「預かりましょう もし今夜帰らなかったら泊めておきます」と云って呉れた
奥さん ありがとう

とうちゃん 世の中の人は皆苦しみ悲しみにたえているのよ
酒で悲しみを忘れようとせずがんばれ


《メモ》

これは昭和30年代かな?

お迎えを待っている子達も、最後の一人になると
遊ぶこともせず、玄関でただじっと待っている。
さみしさや心配などをじっと我慢しているのだろう


短日や灯ともる園舎に母待つ子 としこ


コメント

このブログの人気の投稿

書き始めたきっかけなど

暑さ寒さも彼岸まで?

面白い投書